女子社員の部下の洋服で目のやり場に困っています。セクハラになりますか?

セクハラの問題と言えば、「男性から女性へ」と言ったイメージが強いと思います。ですが、必ずしもそうだとは限りません。昨今、働き方改革や経費削減などによる制服を廃止する企業も増えてきています。制服の廃止とともに、オフィスカジュアルといった服装が主流となってきました。
オフィスカジュアルは自由度の高く明確な基準もないため、風紀の乱れによる問題も少なくありません。特に女性の服装は胸元が開きすぎていないか、スカートの長さはどうかなど、女性社員の服装についての問題が増えてきています。
特に気にもしていなかった洋服も、実は男性社員の目のやり場を困らせている可能性もあり、男性が被害者となる「逆セクハラ」も少なくありません。働く女性が今後ますます増えていく中で、服装についてどのように対処すればよいのか、そのような服装はどのようなセクハラに当たるのかを追ってみましょう。

女性は気を付けたい逆セクハラの可能性がある。

冒頭にも述べているように、セクハラと言えば男性から女性へといったイメージが強くあります。ですが、女性から男性へ対する「逆セクハラ」といったものも少なくありません。
本来セクハラとは性的な嫌がらせや言動、性別を理由とした差別をすることを言います。このようにセクハラとは男性・女性を問わず、成立するものです。
ですが、セクハラと言えばどうしても「被害者は女性」と言った考え方が浸透しており、被害にあった男性が言い出しにくい状況となっています。この逆セクハラは女性自身に自覚がなく行っていることも少なくありません
女性は注意しておきたい逆セクハラとなる可能性がある行為として、「プライベートに対する発言」「露出度の高い服装」「過度なボディタッチ」「男らしさを過度に求める発言」「体系や外見に対するからかい」などが挙げられます。

セクハラなのは女性の服装?それとも男性の視線?

では、今回取り上げている「女性社員の洋服で目のやり場に困る」についてはどのようなセクハラとなるのでしょう。
女性は特に気にしているわけでもなく、下着が透けて見えるトップスや胸元が大きく開いたブラウス、丈の短いスカートなどの露出度の高い服装を着て、「男性が目のやり場に困ると感じた場合」に女性側はセクハラとなる可能性があります
男性側としては「露出の高いファッションをしてこられると、目のやり場に困りますし、つい見てしまっても仕方がない」と言った意見もあります。一方、見られた女性側からすると、「暑い時期は薄着になるのは当たり前」「好みのファッションをして何が悪いの?」「いやらしい目で見るのはやめてほしい」などの主張もあります。
男性はスーツやワイシャツなどある程度定められていることも多いですが、女性の服装の場合は規定が幅広く、特に規定もされていない場合もあるため、どちらの主張も通るようなケースが出てきます。
どちらに非があるのかは難しい問題で、様々な角度から意見が飛び交っている状態ですが、このようなハラスメントの事を「見るハラ」「見せハラ」と呼ばれています。

「見るハラ」「見せハラ」誰もがセクハラの加害者・被害者となる可能性がある

次に「見るハラ」「見せハラ」とはどのようなものかを理解しておきましょう。
「見るハラ」とは薄着の情勢をジロジロ見るなどの不快な視線をおくることを指します。それに反して、見たくもないが、視野に入ることなどを「見せハラ」と言います。
セクハラとなるのは露出度の高い服装をする女性か、それともそれを見る男性か、だけでは決めることができません。前提として知っておいていただきたいことは、「『見る』ことだけで人は処罰できない」ということです。ですが、理由もなく相手の身体をジロジロ見ることは不自然であり、職場において、上司が部下の身体をジロジロ見ることが継続的に行われているなどの状況であれば、「セクハラ」に該当する可能性があります。
一方、肌の露出については、服装の多様性が広く認められている昨今では、あまり考えにくいですが、セクハラに該当しないとは言い切れません。露出度が高すぎる場合などには性的な発言や、行動によって社員の環境を不快にさせる、能力を低下させるといったものなど、見過ごすことができない環境となった場合に環境型セクハラと該当する場合があります。
このように、どちらも度を過ぎてしまうとセクハラとなる可能性もありますので、注意が必要でしょう。

明確なドレスコードを設けさて周知させる

これらのように「セクハラ」は受けた本人が不快に感じると、それはその人にとって「セクハラを受けた」と言うことになります。
例えば「スカートの丈が短いから、気を付けてね。」と気を遣って言ったつもりが、「そんなところばかり見ているんですか?」など言われてしまい、逆に相手を不快に思わせ「セクハラ」と言われてしまうこともあります。このように職場内での女性社員の服装で目のやり場に困るため、指摘をするにしても誤った方法を取ると「セクハラ」として捉えられかねません
このような場合は、会社全体で女性の服装について明確なドレスコードを設けることが解決の糸口になります。「常識の範囲内」や「一般的に」などの曖昧な言い回しだと、価値観は人それぞれですので、「これくらいなら大丈夫だろう」となり、結局同じように目のやり場に困る洋服を着てくることになりかねません。
ミニスカートやキャミソール、ノースリーブの禁止など、ポスターや写真、イラストなどで表現し、曖昧にならないようにするなど明確にすることが重要です

男女ともに快適に働ける職場にしよう。

セクハラを受けることに男女の差はありません。一般的にセクハラと言えば女性が受けるイメージが強く、男性が訴えにくい従業員もいるかもしれません。
目のやり場に困るが、女性社員からセクハラと言われることが怖くてなかなか言い出しにくいこともあるでしょう。セクハラにも色々な種類があり、今回のような「見るハラ」「見せハラ」は特にモラルの問題ともいえるでしょう。風紀を乱してしまうような服装であれば快適に働くことができる職場とは言えません。
服装は個人のセンスもありますのでなかなか統一しづらいですが、社員の服装から会社のイメージにもつながります。社外の人へのイメージや職場環境の改善に向けて明確なドレスコードの設定を見直してみてはいかがでしょうか。