肩を組むことはセクハラに該当しますでしょうか?

スキンシップは、相手に親近感を与えることができる方法の1つです。友達同士や恋人同士などではとても有効な方法で、一気に距離を縮めることができます。
ですが、このスキンシップも職場で行うことや、その人との関係性によっては思わぬ事態に陥ることがありますので、最新の注意が必要となります。
自分にはその気はなく、ただ「元気づける」「労う」「励ます」などのつもりで肩を組むことや、頭を触ったことで「セクハラ」と思われることも少なくありません。
そんなことで「セクハラ」になるのか?と疑問に思うこともあるでしょう。
どこまでがスキンシップで、どこからがセクハラなのかの違いや、なぜこのようなことがセクハラと捉えられてしまうのか、どのように対応すればよいのか、を見てみましょう。
スキンシップのつもりが実はセクハラ?相手の感じ方で捉え方も変わる
スキンシップとセクハラの違いには相手の「感じ方」によって変わります。
「えっ?そんな曖昧なの?」と思う方も多いと思います。
セクハラについては男女雇用機会均等法によって定義されています。
- 職場において従業員の意に反する性的な言動が行われること
- 性的な言動を拒否したり抵抗したりすることによって解雇や降格、減給などの不利益を受けること
- 性的な言動によって職場の環境が悪くなり、従業員の能力の発揮に重大な悪影響が生じること
このように性的な言動により相手が不快に思うことを行うことがセクハラに当たります。
相手が不快に思うことから、好意を持っている人から肩を触られてもそれは嫌じゃないから「スキンシップ」となり、好意を持っていない人や、あまり好きではない人から肩を触られると「セクハラ」と認識されてしまいます。
何気ないスキンシップのつもりで行った行動が相手を不快に思わせていたのであれば「セクハラ」として捉えられかねませんので注意が必要でしょう。
肩を組む意味って何?相手との関係性や状況によって変化する

日本人に比べると西洋人は基本的に、ボディタッチに対する感覚のハードルは低く、男女間であっても挨拶一つでも握手をすることやハグをすることは当たり前のように行われています。世界には様々な文化があり、日本では当たり前のことが、外国では異様に思われる風習もありますし、そう考えると納得がいきます。
では、肩を組むことにどのような意味があるのでしょうか。
カップルであれば肩を組むことで「距離を縮めたい」といった思いがあります。肩を組む行為は手をつなぐよりもさらにお互いの距離を縮めることができます。体が密着していることから周囲に対してカップルとしての親密さをアピールすることができます。
同性同士で肩を組む状況としては、例えばスポーツ観戦の盛り上がりのシーンのように、「楽しいことを共有」している場面によく見ることができます。また親友が落ち込んでいるときにその人を「元気付けよう」と肩を組むこともあるでしょう。
またスポーツチームなどでは「士気を高める」意味で肩を組みながら掛け声を出す光景もよく見られます。試合に挑むために行い、やる気を一層強くする意味があります。
これらのように相手や状況によって肩を組むことにもそれぞれの意味があります。
職場で肩を組む行為はセクハラ以外のハラスメントの可能性も
肩を組むことの意味を見ていただきましたが、もし職場で肩を組むことをするとどのようになるのか考えてみましょう。
上司が部下に対して「次は頑張ろう」「今回は成功させよう」など励ましや士気を高めるために肩を叩くことといった行動はよくあることで、テレビドラマなどでもよく見られるシーンの一つです。しかし、このような行動に本人には他意がなかったとしても部下から警戒されてしまうことがあります。
異性の部下に対して肩を組む行為は「セクハラ」と認識されることがありますので特に注意が必要です。男性から女性への場合はなおさら、軽いスキンシップのつもりがとんでもない結果を招いてしまうこともありますので、ボディタッチに関することは慎重になり、行動することを心掛けておきましょう。
新たなプロジェクトに挑むために士気を高めようと円陣を組むことや、失敗した部下を励ますために肩を組むことが部下は「圧迫されている気持ち」となりセクハラだけでなく「パワハラ」の認識を持たれかねません。
また、飲み会の場や写真撮影などで立場が上の人や年齢が上の人に肩を組むこともありますが、状況や雰囲気で許されているだけにすぎません。目上の人に対して肩を組む行為は「偉そう」「なれなれしい」などマイナスの印象を与えてしまいます。
肩を組む相手や状況を間違えてしまうと思わぬ事態になってしまいますので注意しておきましょう。
肩を組むことで相手はどう思っているか考えてみる
肩を組むことで「相手が不快に思うかどうか」が重要となります。相手によって「スキンシップ」か「セクハラ」かの違いがありますが、肩を組むことで相手にどのように思われているかを考えてみてください。
普段から親しくしている相手であれば軽いスキンシップと思うことができても、苦手な上司やあまり好きではない相手と肩を組むとなると不快に思うでしょう。このようにスキンシップかセクハラかは相手との関係性がポイントとなります。
また、「どのような状況で肩を組んだか」も相手によって違いがあります。例えば肩を触れられるだけでも嫌がる人もいれば、軽く肩を組む程度であれば気にしない人もいます。このように感じ方は相手によって違うことを理解しておきましょう。
何より「相手が嫌がっているかどうか」が重要となります。軽い冗談のつもりで肩を組んだことが相手を不快に思わせていたのであれば、それはスキンシップとしては呼べない上にセクハラとして捉えられかねませんので注意しておきましょう。
スキンシップとセクハラの境界線を理解しよう
肩を組むことがセクハラとなるのかどうかは受ける側の捉え方で大きく変わるということです。
肩を組むことに励ましや労いなど他意はなくとも、「相手が不快とおもうかどうか」が重要であり、「これはセクハラだ」と決めることは簡単ではありません。
普段の職場での人間関係や雰囲気などで「スキンシップ」は関係性をよくするための手法の一つで肩を組む行為は距離を縮めるのにも有用ではありますが、相手の捉え方次第では「セクハラ」として捉えられることもありますので、しっかりと境界線を理解し、良好な関係を気づけるようにしていきましょう。