セクハラ?取引先からの頻繁な食事の断り方

仕事をしていると、取引先から食事の誘いを受けることがある人もいると思います。取引先との食事は「接待」や「会食」などと呼ばれており、ビジネスを成功させるためにも必要な仕事の一つと言えます。食事に誘われたら「仕事だから仕方がない」「なんとか契約に結び付けたい」と思い食事に行く方も多いのではないでしょうか。ですが、食事となると仕事が終わった就業後や休日などプライベートを削ることもあります。さらに頻繁に食事に誘ってくる取引先などもあるのではないでしょうか。「本当は断りたいのに仕事に支障が出てしまっては・・・」「契約が破棄されてしまっては」などの思いからなかなか断ることもできない人もいるのではないでしょうか。
そこで、「取引先との食事の必要性はあるのか」「食事の誘いなどによるハラスメント」「上手な食事の断り方」などについて考えてみたいと思います。

取引先との食事は必要なの?

そもそも取引先との食事にはどのような意味合いがあるのでしょう。
ビジネスにおける食事には、取引先への感謝の気持ちを表すことで行う「会食」や、商談・交渉などをスムーズに進めるための「接待」となり、それぞれ意味が異なることを知っておきましょう。
取引先との食事と言うことなので、基本的にはビジネス関係者との食事になります。このポイントとしては、「個人的な付き合い」ではなく「会社の代表として出席する」ということです。
このように、取引先との食事は「信頼関係構築や交渉を円滑に進めていく」ための場と言えます。会食や接待の場を上手に行うことで、取引先との契約や今後の仕事にも関わる大切な場と言えるでしょう。

頻繁な食事の誘いはセクハラやパワハラになるの?

食事の場が大切なことはわかりましたが、どれだけ会社のため、契約のためと思っていても、執拗な食事の誘いは自分のプライベートにも支障が出て困ってしまう方も多いのではないでしょうか。また、女性の場合は取引先相手による下心などにより、頻繁な誘いが来ることも少なくありません。当然、仕事として目的があり食事の誘いがあるくらいであればそれがセクハラやパワハラにあたるとは言えませんが、「私的な食事にしつこく誘われている」のであればセクハラやパワハラにあたる可能性があります
その他にも、取引先からのセクハラ・パワハラとして挙げられるものとして、「値引き交渉やスケジュール変更など明らかに無理がある要求を強要する」「暴言・暴力を振るう」「私的な用事に付き合わせる」「性的な関係を迫ってくる」「食事の席で身体に触ってくる」「食事を断るなら契約は打ち切る」などがあります。

取引先からのセクハラやパワハラへの対応はどうすればいい?

もし、取引先からセクハラやパワハラなどを受けているようであれば、どのように対処すればよいのでしょうか。
取引先が「大口顧客」や「お得意様」などからのセクハラを受けていると「会社に報告しても対処してもらえないかもしれない」と不安になるかもしれません。ですが、セクハラは社内・社外関係なく、法で罰せられる行為で、悪質な場合は犯罪行為ともなります。例え会社にとって大切な取引先であったとしても許される行為ではありません
セクハラの被害を受けているのであれば、すぐに上司へ相談し会社として対応してもらうようにしましょう。会社には従業員を守るための「安全配慮義務」があります。セクハラの被害を受けているのであれば、会社側から取引先の会社へセクハラをやめてもらうように働きかけるなどの対策を行わなければいけません。
セクハラの被害を訴える場合において、「セクハラを受けている証拠」が重要となります。その証拠がない場合はセクハラ被害を訴えることができないこともありますので、必ず証拠を残すようにしておきましょう。
セクハラが起こり得る場面においては、ボイスレコーダーやスマホで録音の準備をしておくと、証拠として残すことができます。
セクハラを受けたほとんどの人が「相談していない」「一人で抱え込んでいる」ことがあります。そのままにしているとどんどんエスカレートしていき、つらい思いをしてしまうことになってしまいます。そうならないように、セクハラの被害を受けた時は必ず会社や上司、同僚など相談をするようにしましょう。状況によっては担当を変えてもらうことも考えておきましょう

行きたくない!上手な取引先からの食事の断り方はある?

取引先からの食事の誘いとなると、なかなか断りにくいものです。ですが、断り切れず食事の機会を作ってしまうことでセクハラへと発展、誘発してしまうことにもなりかねません。
食事を誘われることは営業職として多くありますが、女性の営業職の人の場合、特に食事への誘いが多くなります。もちろん純粋に仕事としての誘いもあるかもしれませんが、下心をもって誘ってくることも少なくありません。では、どのように断ることがいいのでしょうか。

見込客の場合

「お誘いいただいてうれしいです。ありがとうございます。残念なのですが、契約前のお客様との個別での食事は禁止となっております。」

相手のプライドを傷つけないように配慮しながら、誘っていただいたことに感謝をしつつ、会社として断らなければいけないことを伝えましょう。断ると契約が遠のくと思ってしまいがちですが、「契約前」と伝えることで、契約が相手の視野に入る可能性も高くなります。

既存顧客、得意先などからの場合

既存顧客や得意先などの取引先の場合、一緒に仕事を行っていくことで信頼関係も築かれていきます。ですが、仲が良くなるにつれ、食事への誘いが頻繁になることも少なくありません。食事を断ることで「これまで築いてきた信頼関係を崩してしまう。」「仕事の受注が減ってしまう」など不利益にならないかと考えてしまいます。では、既存顧客や得意先などの場合は「日程の調整が難しい」ことや「会社を理由にする」ことを伝えましょう。
まず、誘いを断る時によく使われる方法が「日程の調整が難しく断る」方法です。
「その日は他の商談があり調整が難しい状況」「仕事の納期が迫っている」「仕事が立て込んでいてしばらく予定が立てられない」など誘っていただいたことへの感謝の言葉をこれらの理由を伝えるようにしましょう。また、「本当は行きたかったが、断ることになってしまった状況」も伝えるとよいでしょう。
次に会社の方針を理由にする場合です。日程の都合での断り方であると、また別の日に誘いがくる場合もあり、さらに頻繁な誘いとなってしまうことも考えられます。そのような場合は「会社の方針で自粛するようにとなっている」「会社から個人的なお食事は禁止されている」と断るようにしましょう。
既存の取引先からの誘いであると正直断りにくい大切なお客様もいます。また食事を断ったことによって、関係性が悪化することや契約の機会が減ることもありますが、食事への誘いに困っているのであれば、断ることも大切です。ですが、どうしてもと言う場合には「ランチなら」と切り替えることも一つの方法です

断る手段やタイミングは?

取引先からの食事の誘いを断る手段としては、直接言われたら直接返し、電話であれば電話、メールであればメールと言うように相手に合わせて返しましょう。
また、断る際は手段や言い方よりも「早く対応する」ことがポイントです。返事を待たせてしまった上に断ることでより相手との関係性を悪くしかねません。その場ですぐに断ることができれば、本当に時間がない人だということが伝わります。

上手に断りながらより良い関係を作ろう!

ビジネスにおいての食事は相手との関係性を深めることができますが、セクハラを誘発してしまう可能性もあります。ですが、上手に誘いを断ることでセクハラを防ぐこともできます。
相手のペースに乗らずに誘いが来たらすぐ、間髪入れず断ることも大事なスキルです。上手に断るスキルを身につけ、相手との関係性を崩さずに良い関係を保ち築いていけるようにしておきましょう。
また、仕事をしていく中で「売り上げのため」「仕事のため」と思うことは大切ですが、何より自分の身体を一番に考えることが大切です。頻繁に食事に誘われて断ることができない状況や嫌な思い、つらい思いをしていることがあれば、証拠をもって会社に相談をするなどすぐに対処しましょう。