セクハラになるの!?女子社員の前で下ネタを話すのはOK?

会社の女子社員の前で、軽い気持ちで下ネタを言ったら「セクハラ」認定されてしまったということはありませんか。
自分で「下ネタ」を言っているという認識がある場合は、不用意な発言をしないよう気を付けられますが、「下ネタ」「不快」「セクハラ」と感じるかどうかは相手次第ということもあります。
ここでは、そもそも「下ネタとは?」「セクハラとは?」ということや、注意すべき点についてご説明していきます。

「下ネタ」とは?用語の意味を確認

ここでいう「下ネタ」とは、どのような事柄を指すのか言葉の意味を確認しておきましょう。

【下ネタ(しもねた)】
性に関する話題、または大小便に関する話題などを指す語。
実用日本語表現辞典実用日本語表現辞典より

下ネタは主にテレビ業界で使われていた用語が一般に広まった言葉と言われており、性的な言動や話題を意味します

また、「性的な言動」の例には以下のようなものがあります。
【性的な内容の発言】
性的な事実関係を尋ねること、性的な内容の情報を意図的に流布することなど
【性的な行動】
性的な関係を強要すること、必要なく身体へ接触すること、わいせつ図画を配布・掲示することなど
厚生労働省「セクハラ防止指針②」より

女子社員に下ネタを話すのはセクハラになるの?

会社の女子社員に対して下ネタ発言をすると、セクハラとして法的責任を問われる可能性があるので注意が必要です
セクハラ発言は、発言した当事者は民法上の不法行為に該当し、その従業員を雇用する会社にも法的責任が発生します。
会社にも法的責任が発生する理由は、改正男女雇用機会均等法第11条で事業者に対して「セクハラの防止措置を講じること」が義務付けられているためです。

セクハラの定義とは?
改正男女雇用機会均等法第11条では、以下2つのいずれかの要件を満たすと「セクハラ(セクシュアル・ハラスメント)」に該当すると示されています。

① 職場において行われる性的な言動で労働者の対応によりその労働条件につき不利益を受けること
② 性的な言動により当該労働者の就業環境が害されること

同条の「セクハラ」は「対価型セクシュアル・ハラスメント」と「環境型セクシュアル・ハラスメント」の2種類に分けられています。

「対価型セクシュアル・ハラスメント」
対価型セクシュアル・ハラスメントは、労働者がセクハラを拒否したり抵抗したりすることで労働条件に悪影響を及ぼすことです。
下ネタ発言をした上司に、反論したり批判的な態度を取ったりすることで、解雇・降格・不利益な配置転換・減給などの不利益な処分を受けた場合これに該当します。

「環境型セクシュアル・ハラスメント」
性的な言動よって就業環境が不快なものになったために、労働者の意欲が低下する、苦痛に感じて業務に専念できないなど、業務に支障が出るほどの悪影響が生じることです。
例えば、上司が労働者の肩、腰、胸等に度々触ったため、その被害者が苦痛に感じて就業意欲が低下したというような状況がこれに該当します。

一般的に「セクハラ」というと被害者は主に女性を指しますが、女性から男性に対するセクハラ事例も存在しているため、相手が男性だから大丈夫だろうと安易に考えないよう注意が必要です。

相手が下ネタOKならセクハラにはならない?

相手が下ネタOKならばセクハラにはなりません。
セクハラに該当するかどうかは、「相手方の意に反している」ということがポイントになります。
性的な言動があっても、相手も合意の上であれば違法性がないため、セクハラには該当しません
下ネタ発言をされて不快に感じる・苦痛を感じるのであれば、被害者は「意に反している」ということを相手に示す必要があります。
ただ、全ての人がはっきりと「NO」を突きつけられるわけではありません。
特に、発言する側が上司や取引先である場合、下の立場の人間はどうしてもはっきりと反論したり拒絶したりすることが難しい場合もあります。
発言する側は、相手が不快に感じていないか常に自身の言動に配慮することが最も重要です

セクハラの境界線とは
気になるのがどこからどこまでがセクハラに該当するのかということでしょう。
下ネタ発言以外にも、セクハラに該当することがあるため注意が必要です。
例としては以下のようなことが考えられます。

・太っている・痩せているなど体型についての発言
・彼氏・彼女がいるのかというようなプライベートなことを聞く
・握手を求める、肩を触るなどのボディータッチ

あまりにもセクハラではないか意識しすぎると、楽しく会話ができなくなるということもありますが、一般的な人が不快に思うであろうことはしないというのが一番の対策になります

同性間でもセクハラになる?!

これまで男性から女性に対してといった異性間のセクハラについてご説明してきました。
気を付けたいのが同性間でもセクハラになるということです。
女性労働者が女性労働者に対して行う場合や、男性労働者が男性労働者に対して行う場合についてもセクハラ行為に含まれます
同性同士であれば会話のノリでつい度が過ぎているだけなのか、セクハラなのかという判断が難しい問題でもあります。
同性間でも以下のようなものがセクハラに該当します。

・執拗に性的な質問をすること
・執拗に交際相手や結婚に関することをたずねること
・悪意を持って性的な噂を意図的に流すこと
・体型や性的なことに関して指摘したりからかったりすること

まとめ

下ネタを楽しい話題のひとつと捉える人もいれば、不快な気持ちになる人もいます。
特に、不特定多数の人がいる場では、誰が聞いているか分からないため不用意な発言をすることは控えましょう。
万が一取引先や顧客が聞いていた場合、会社の社会的信用にも関わることにもなります。
楽しい会話のはずが、軽はずみな言動によって訴えられてしまうというような取り返しのつかない事態にならないよう、常日頃から相手の立場に立って考えることが重要です。