昭和時代の働き方はパワハラ? ――時代が変われば、正義も変わるのか・・

■ はじめに:その「指導」、今の時代では通用しません
「俺たちの頃は、毎日終電で帰ってたんだ」
「電話一本で新潟から福岡へ転勤したもんだ」
「上司に殴られても、ありがたいと思ったね」

こんな言葉を、あなたもどこかで聞いたことがあるかもしれません。
昭和の時代を支えた“熱血上司”たちの働き方は、令和の働く人たちにとっては、パワハラやブラック労働の象徴として語られることも増えてきました。

でも、本当に“全部”がパワハラだったのでしょうか?
今回は「昭和型の働き方」を振り返りつつ、どこからが“アウト”なのか。
そして、今どきの働き方に活かせるヒントはあるのかを探っていきます。

■ 昭和の「働き方三種の神器」
昭和の高度経済成長期、そしてバブル期。
会社員はまさに“企業戦士”でした。そこには、以下のような3つの特徴的な働き方がありました。

  1. 時間を捧げる(長時間労働)
    定時で帰るなんて“根性なし”の証。
    “仕事ができる人=残業している人”という価値観が支配していました。
  2. 感情を抑える(精神主義)
    どれだけ理不尽なことを言われても、上司に「はい」と従うのが“礼儀”。
    怒鳴られても叩かれても、それは「愛のムチ」──そんな時代でした。
  3. 会社に尽くす(私生活より会社)
    “家族より会社”。
    転勤も長期出張も当たり前。盆も正月も会社のため。
    それでも「会社は家族」なんて言われていた時代です。

■ パワハラに該当していたものは?
厚労省の定義によると、パワハラは以下の6つに分類されます:

分類 内容例
身体的な攻撃 殴る、蹴るなどの暴力行為
精神的な攻撃 大声で怒鳴る、侮辱する
人間関係からの切り離し 無視、隔離
過大な要求 過剰なノルマ、不可能な納期
過小な要求 明らかに能力を下回る仕事しか与えない
個の侵害 プライベートへの過干渉(結婚や家族構成)

昭和の職場には、これらすべてが“普通に”存在していたケースも少なくありません。
当時は「愛のある指導」「教育の一環」とされていたことでも、現代では“加害行為”として明確に線引きされているのです。

■ じゃあ、昭和は全否定していいのか?
もちろん、答えはNOです。
過剰な長時間労働や暴力的な指導は、現代では到底許されません。
けれど、すべてを「悪」として切り捨てるべきか?と言えば、そうとも言い切れません。

昭和の働き方から、私たちが学べる点も確かにあります:

責任を持つ覚悟:「俺が責任を取るから、やってみろ」という背中

対面コミュニケーションの重視:顔を合わせることの意味

忍耐と継続の力:すぐに辞めない、踏ん張る力

これらは、若手の離職率が高まり、リモートやチャットが主流となった現代の働き方において、見直す価値がある“資質”とも言えます。

■ 令和の働き方は「調和力」がカギ
今の時代の働き方に求められているのは、極端な自己犠牲でもなければ、過剰な自己主張でもない。
大切なのは、「他者への配慮」と「自分を守る力」ですね。

時代に合わせて働き方も変わってはくるかと思いますが、自分を大事にすることはもちろんですが、周囲の人へもきっちりと配慮を持って仕事に取り組んでいきたいものです。