これってセクハラ?派手な服装の女子社員への注意の仕方とは?

「この言い方はセクハラにならないかな・・・」「これを注意してパワハラって言われたらどうしよう・・・」と不安になり、部下への注意を躊躇してしまっている管理職のみなさまへ。
不適切な事柄はしっかりと注意すべきです。なぜなら、ハラスメントを過度に恐れるあまり、それを放置してしまえば、より大きな問題につながりかねないからです。
例えば、職場に相応しくない服装で出社する女子社員を見過ごしていたとします。その女子社員が取引先の方と接触する機会があった場合、取引先からのあなたの会社への印象は悪くなるでしょう。「社会人としてのマナー教育ができていない会社」と思われる可能性もあります。
ハラスメントにならないよう、ポイントを押さえて、適切に注意することが大切です。この記事では、「派手な服装の女子社員への注意の仕方」を例に、そのポイントを詳しく解説します。これを読めば、明日からハラスメントを過度に恐れることなく、自信をもって適切な注意ができるようになります。
異性の上司から注意してもセクハラにならないポイント
女子社員の服装を注意したい場合、真っ先に思う浮かぶ手段のひとつとして、「同性の社員から注意してもらう」ことが挙げられるでしょう。やはり異性から注意するのは躊躇してしまう人が多いからです。
もちろんその方法も有効です。女子社員の個性を考慮した結果、そういった手段をとる方が適切な場合もあります。ただ、以下の2つのポイントさえ押さえておけば、セクハラと言われることなく異性の上司から注意することができます。
- 業務に関係のないことは言わない
- 相応しくないところを明確にし、具体的に指導する
それぞれについて、詳しく解説していきます。
ポイントその① 業務に関係のないことは言わない
業務に関係のないことは言わず、簡潔に伝えることが大切です。相手に気を遣ったつもりの言葉でも、人によっては不快に感じ、セクハラになる可能性があるからです。例えば、以下のような言い方です。
・「その服装、僕は似合っていると思うけど…」
・「雰囲気変わったけど、彼氏でもできた?でもその服装はちょっと…」
・「(露出の多い服装に対して)目のやり場に困るから言うんだけど…」
これらの言い方は避けるべきです。私情は挟まず、簡潔に伝えるようにしましょう。
ポイントその② 相応しくないところを明確にし、具体的に指導する
まずは、その服装のどこが職場に相応しくないのかを明確にする必要があります。「全体的に」や、「なんとなく」ではなく、直すべきところを明確にすることで、相手も納得しやすくなるからです。判断基準は、会社や職場によって異なります。お客様と接する業務か、或いは内勤の業務かなどによっても違ってくるでしょう。
また、どのように直すべきか、具体的に示すことも大切です。スカート丈が短い場合は、どの程度の長さが適切なのか、派手な色味の服装であれば、どのような色合いが相応しいのかなど、きちんと伝えましょう。そこを曖昧なままにしてしまうと、相手もどう直せばよいのかわからず、結局何も変わらないという結果になりかねません。
例えば、取引先の方と接する業務の女子社員に対して、スカート丈が短いことを注意したい場合、次のような言い方をしてみましょう。
「〇〇さんのスカート丈が少し短すぎるので、ビジネスの場には相応しくありません。お客様と応接室で対峙する際に、座ってもスカートの裾を気にしなくてすむくらいの長さにしてください」
このような言い方をすれば、業務上必要な指導になるため、セクハラとは判断されません。

注意する「場所」と「タイミング」にも考慮が必要
服装を注意するには、以上のような「言い方」だけでなく、「場所」と「タイミング」にも考慮が必要です。たとえ適切な言い方をしたとしても、場所やタイミングを誤れば、セクハラまたはパワハラになってしまう可能性があります。
場所は「一対一になれるところ」、タイミングは「気になった時点で」が基本です。大勢の前で服装を指摘すると、相手に恥をかかせてしまい、大きなダメージを与えてしまいます。また、「そういえばあの時の服装なんだけど…」と、過去に遡って注意すると、なぜ今更いうのかと、相手に不信感を抱かせてしまいます。
不相応な服装が気になったらすぐに、一対一になれる場所で、適切な伝え方で注意をしましょう。
セクハラやパワハラにならない言い方を身につけることが大切
ハラスメントを恐れて問題を放置するのではなく、「ハラスメントにならない適切な言い方で部下指導を行うこと」が管理職には求められます。
このご時世、たとえ自分に悪気がなくても、相手がセクハラだと思えばセクハラに該当してしまう場合があります。ただ、そう感じた理由に正当性がなければ、セクハラにはなりません。服装を注意する際は、言い方には気を付けなければいけませんが、注意すること自体は、セクハラではないのです。
パワハラに関しては、「強制された=パワハラだ」と捉える人がいますが、決してそうとは限りません。例えば、緊急で対処しなければならないトラブルが発生し、上司から残業を強いられたことに対してパワハラだと訴えてきた部下がいたとします。残業の理由の正当性をきちんと示すことができれば、パワハラ認定はされないでしょう。
セクハラやパワハラ回避のために共通していえることは、「業務上の必要なこと以外言わないこと、業務に必要であることの正当性をきちんと示すこと」です。この点に注意して、適切な部下指導を行うようにしましょう。