これってパワハラ?遅刻しがちな部下への注意の方法とは?

社会人にとって遅刻は厳禁というのが大前提。遅刻を繰り返す社員に対し、上司は話をして改善を求める義務があります。
しかし、注意するにも方法を一歩間違えるとパワハラになり兼ねない時代です。
今回は、どのように注意すればパワハラと捉えられず円滑に改善を促すことができるのかを徹底解説していきます。
パワハラを感じさせる部下が遅刻をした際のNG対応とは?
遅刻を繰り返されると、「またか」「怠惰な人」といったイメージがつき、ついその前提で叱責してしまいそうになります。まずは冷静に立ち止まりましょう。
ついやってしまいがちなNG対応を知ることが大切です。部下のことを思って改善を促しているのに、パワハラをしていると捉えられたらとても残念ですよね。改善に遠回りな方法になっていないか確認しましょう。
遅刻の理由を確認せず注意を始める
いくら遅刻しがちな人だからと言って、遅刻の理由を確認せず頭ごなしに注意するのは良くありません。本人に原因のあるものかやむを得ない原因なのかでは注意の仕方も異なります。また、本人に原因のあるものでも体調不良や事故など、理由によっては注意するポイントが変わってくるものもあるでしょう。
そして何より、頭ごなしに注意する上司と部下では信頼関係の構築自体難しくなってしまい、他の業務にも差し支えてしまう可能性もあります。
また、すぐに始末書や減給、勤怠不良による解雇をちらつかせるのはやめましょう。まずはなぜ遅刻したのかを明確にしましょう。
他の人に気付かれるように人前で注意する
つい出勤してきて目についたタイミングで声を掛けてしまいたくなる気持ちはわかりますが、場所とタイミングは考慮しましょう。
人前での注意はその人の立場が悪くなるだけでなく、聞いている他の社員の気分も害してしまいます。また、いくら正しいことを言っていても「あんな言い方しなくてもいいよね」などと注意した側の立場が悪くなることもあるのです。社内の人間関係や雰囲気を大事にするのも上司の役割です。
理由が怠慢と感じられるものであればその場で叱責したくなりますが、どんな理由でも周囲に人がいないところや別室で話をするのがベストでしょう。
改善する見込みがないからと見て見ぬふりをして諦める
注意をしても響かないとなると、諦めてしまいたくなりますよね。しかし、遅刻せず出勤している他の社員のことを考えると問題解決に向けて働きかけなくてはなりません。「遅刻が許されるなら真面目に仕事している自分がばかばかしい」などと意欲を失ってしまい兼ねません。
それは会社全体に悪影響となってしまいます。ルールの境界線が曖昧になり、職場のモラルの悪化へとつながっていくことも十分にあり得ます。遅刻の常態化は取引先だけでなく、他の社員の負担や業務の停滞へとつながってしまうことをわかってもらうことが必要です。
遅刻をしてしまう社員には根気強く、具体的な例を挙げながら周囲への影響や今後どう対策していけばよいのかを一緒に考えていけるようにしましょう。

パワハラにならない遅刻した社員への対応方法
遅刻しがちな人への対応は注意だけでは難しいでしょう。ましてパワハラだと言われてしまっては本末転倒です。問題解決を最優先とし、適切に対応することが最大の近道となります。
最初に遅刻してしまった理由を確認する
まずは相手の話に耳を傾けることから始めましょう。遅刻の理由には寝坊や事故、体調不良などの自分に原因がある場合と、公共交通機関の乱れや人助けなどのやむを得ない場合とがあります。
例え寝坊であっても、それが前日の夜遊びなどが原因の場合もあれば、病気が潜んでいる場合があるのでよく確認することが必要です。
また、遅刻だけに焦点を当てるのではなく、背景に何かあるのではないかということも視野に入れておきます。別の悩みを抱えていないかということもあわせて確認します。
注意だけではなく、今後どうしていけば解決につながるのかを考えられるように話を進めましょう。
その際、「注意指導記録」としていつ・どのような理由で・どのように注意したかを詳細に記録しておきましょう。これは後々何らかの処分や罰則を与えざるをえない状況になった時に重要な資料となります。相手とのトラブル回避にもなるのでこまめに記録しておきましょう。
連絡なしの無断遅刻はしないということを伝える
遅刻しがちな社員だけに限ったことではありませんが、例え数分だったとしても遅刻がわかった時点で事前に連絡を入れることを徹底させましょう。ルールの境界線を甘くしてしまうと、「少しくらいならいいか」と会社全体として遅刻の常態化へとつながっていく可能性があります。
特に遅刻しがちな人はどんどんルーズになってしまいます。無断で遅刻することは周囲への迷惑につながることをしっかり伝えておきましょう。
勤怠に対する事案が発生した場合についての規則があれば予め周知しておくのも1つの手です。
遅刻しがちな状態の改善を促す
どんなにこちらが何度繰り返し説得しても、相手に響かなければ改善しません。むしろ叱責したりずれた観点から話をしたりしても、「精神的苦痛を受けた」「パワハラだ」などと言われてしまう可能性もあります。改善を促すには、本人が遅刻の原因としっかり向き合うことや問題解決に向けて自分考えることが必要です。自身の“気付き”がなければ難しいのです。そのことを念頭に置いて話をしていきましょう。
遅刻してしまう原因を捉え、例えばもしモチベーションの低下であれば仕事の些細な成長を見逃さず認めるといった、注意とは別の場面で+αのサポートをしていくことも場合によっては必要かもしれませんね。しかし、その際には周囲の環境には気を付けましょう。
「遅刻をしていても仕事は認められている」と他の社員が感じてしまうのは問題です。他の社員のいないところでさりげなく声を掛けましょう。また、他の社員にはそれ以上に認める言葉掛けや相応の対応を心掛けることが大切です。
遅刻しがちな社員に必要なのはパワハラのような叱責ではなく耳を傾けること
遅刻は良くないことというのは当たり前のこと。しかし、それが良くないことだと伝えることは叱責や注意だけではありません。まずは相手の話に耳を傾けることです。頭ごなしに𠮟ることは何の解決にもなりません。効果のないことに気力や体力を奪われ、リスクを背負うなんていいことは何ひとつありません。
相手の話を聞き、解決の糸口を探ることが大切です。遅刻を繰り返している人が自身の問題に向き合い改善できるように促し、解決できるようにしていきましょう。相手も自分も、そして他の社員も快適に過ごせる環境にしていけるといいですね!