朝起きて、気分が乗らないとき、効果的な自分に対する暗示方法をご紹介

朝目が覚めたときに「仕事に行きたくない」「何もやる気が起きない」など、何をするにも気分が乗らないことがある人も少なくはないのではないでしょうか。ほとんどの人は「社会人として仕事に行かないと」「行かないことは甘えだ」など自分に言い聞かせて何とか体を起こし、仕事に向かうことでしょう。なんとか仕事に行くことができても、やはり気分が乗らないままでは仕事効率も下がってしまいますし、ミスにもつながってしまうことでしょう。
一度や二度であれば頑張れることもそんな日々が続いてしまうと、身体も心も疲れてしまいます。ストレスを抱えたままだと、気分だけでなく違った病気へとつながってしまうこともあります。そこで、朝の気分が乗らない時のおすすめの暗示の方法として「自律訓練法」と呼ばれるものがあります。
そこで「自律訓練法」による自己暗示について効果や注意点などをご紹介しますので、ご参考ください。
自律訓練法ってどんなもの?
自律訓練法とは、適切な方法で行うことによって、リラックス状態を自己暗示することによって作り上げていく方法のことを言い、自律神経のバランスを取るトレーニングをします。自律神経とは、脳からの指令を受けて、全身の筋肉や内臓などの働きを調整する神経の事を言います。この自律神経には身体をよく動かす昼間などに働く「交感神経」と、ゆっくりとくつろぐ夜に働き全身をリラックスさせる効果がある「副交感神経」の2種類があります。人間はこの2種類の神経のバランスが保たれることによって、健康な毎日を送ることができます。この2つの神経のバランスをとれるように、暗示を行う方法が「自律訓練法」と言います。
自律訓練法は東洋思想の瞑想にヒントを得ており、座禅やヨガ、マインドフルネスなどに共通点も多くあり、ますが、もともとは神経症や心身症などの治療として考えられたものなのです。自律訓練法はメディアにも取り上げられるなど、広く認知されており医療機関での治療はもちろん、その他にもスポーツ選手などのパフォーマンス向上や仕事の生産性向上のために研修を取り入れる企業、気軽に自分で行えるものなど、多方面に活用されています。
自律訓練法で得られる効果は?ストレスも軽減できるの?
自律訓練法がどのようなものかを知っていただきましたが、自律訓練法は心と身体を眠りに入る直前のようなうつらうつらした状態を作り出すことで疲れやストレスの軽減に効果があるとされています。
効果として「蓄積された疲労の回復」「イライラを軽減し、穏やかな気持ちになれる」「自己統制力が増し、衝動性を抑えることができる」「仕事や勉強などに対する集中力の向上」「身体的な痛みや精神的苦痛の緩和」などがあります。さらに、前述にもあるように、もともとは神経症や心身症などの治療のために考え出された方法のため、医師や専門家の指導のもと行うことで、精神疾患の治療にも効果があります。
自律訓練法を行う際の注意点や準備は?
自律訓練法を行う方法は、決まった言葉を心の中で唱えながら暗示をかけます。決まった言葉の事を「公式」と呼びます。公式を順番に行うことで、リラックス効果が深まるように構成されており、「気持ちを落ち着ける」トレーニング(背景公式)から始め、6つのトレーニング(公式)を行い、最後に消去動作と言うものを行い、身体を元の状態に戻していきます。
公式の種類と手順
・背景公式 「気持ちが落ち着いている」
・第1公式 安静練習「両手両足が重たい」
・第2公式 音感練習「両手両足が温かい」
・第3公式 心臓調整練習「心臓が自然に静かに規則正しく打っている」
・第4公式 呼吸調整練習「自然に楽に息をしている」
・第5公式 腹部音感練習「お腹が温かい」
・第6公式 額部涼感練習「額が気持ちよく涼しい」
・消去動作 元の心身状態に戻る
一連の流れとしてはこのように背景公式から消去動作までの公式があります。
行う際の注意点
セルフケアで行う際は第2公式までに行うようにしましょう。第3公式~第6公式は練習法が難しく、持病や体質、体調によって合わない場合や、副作用のでる可能性もありますので、医師や専門家の指導のもと行うことをおすすめします。
そのため、ここでは気軽にご自身で行うことができる第2公式までを紹介させていただきます。
準備すること
背もたれのある安定している椅子に姿勢を良くして座る、もしくは仰向けに寝るなど、リラックスしやすい姿勢を取れるようにする
ベルトや時計、メガネなど身体を締め付けるものは外しておき、ゆったりと衣服で行う
少し暗めで、気が散らない静かで快適な温度の場所
1回あたり5分程度にとどめておき、1日2~4回程度が適量
注意点にある疾患などがある場合は医師に相談をする それ以外の方でも医師に相談しておくと安全でしょう。
自分でできる自律訓練法のやり方

前述にもあるように、第3公式からは医師や専門家による指導などを受けながら行うことをお勧めしますので、ここでは自分で行うことができる自律訓練法の第2公式までを紹介します。
・背景公式「気持ちが落ち着いている」
まず始めに、ゆったりとした姿勢で深呼吸をします。息を吐くときに肩の力を抜くようにしましょう。気持ちが落ち着き、身体が緩んでくると、「気持ちが落ち着いている」と心の中で繰り返していきます。無理に「落ちかなければいけない」などと言ったものは考えず、今の状態を受け入れながら行いましょう。
「目を閉じてゆったりとした姿勢で深呼吸」→「気持ちが落ち着いている」と心の中で繰り返す
・第1公式 安静練習「両手両足が重たい」
気持ちが落ち着いていることが感じられたら、利き腕から行います。利き腕が右手であれば「右手が重たい」と心の中で繰り返します。続いて「左が重たい→右足が重たい→左足が重たい→両腕が重たい→両足が重たい」のように順番に心の中で繰り返しながら行います。初めのうちはなかなか重たさを感じることができないと感じるかもしれませんが、継続していくことで重たさを感じてくるでしょう。
「右腕が重たい」→「左腕が重たい」→「右足が重たい」→「左足が重たい」→「両腕が重たい」→「両足が重たい」と心の中で繰り返す
・第2公式 音感練習「両手両足が温かい」
手足の重たさを感じることができれば、次は両手足が温かく感じることを行います。方法は第1公式と同じように「右手が温かい→左手が温かい→・・・」と行っていきます。人の身体はリラックスすることで、血流が良くなり温かさを感じることができます。第1公式よりも第2公式の方が感じやすい人も多いでしょう。また、初めのうちはなかなか重たさや温かさを感じにくいこともありますが、繰り返し行っていくことで徐々に感じ取れるようになっていきます。
「右腕が温かい」→「左腕が温かい」→「右足が温かい」→「左足が温かい」→「両腕が温かい」→「両足が温かい」と心の中で繰り返す
・消去動作 元の心身状態に戻す
ここまでで心身は深くリラックスすることができ、うとうととした状態にあります。頭はぼんやりし、身体のゆるみや重たさを感じることもあるでしょう。このように感じることができたなら、両手でグーとパーをゆっくりと5回ほど繰り返しましょう。その後、両手をグーにしたまま腕を上にあげたり肘を曲げたりを4回程度行いましょう。最後に大きく伸びをしながらゆっくりと深呼吸をし、目をゆっくりあけます。
消去動作を行わず、うとうとした状態で活動をすることは日常動作に支障が出る場合もあるので、終わった後は必ず消去動作を行い日常生活ができる状態へ戻すことをしましょう。
ですが、就寝前に行うのであれば消去動作は行わなくてもいいので、リラックスした状態で入眠しましょう。
「両手でグーパーを5回ほど繰り返す」→「両手をグーにしながら腕を上げたり肘を曲げたりを4回程行う」→「大きく伸びをしながら深呼吸」→「ゆっくりと目を開ける」
朝の目覚めをスッキリさせるには良質な睡眠がキーポイント
ここまで、自律訓練法による暗示で気分が乗らない時の対処法を述べさせていただきましたが、目覚めの気分を整えるためにはしっかりと睡眠をとることも大切です。ですが、ただ「眠る」と言うだけではありません。脳は1日フル回転で働いています。そんな脳を休ませるための行為が「睡眠」です。脳にとって「睡眠」はとても重要ですが、どれだけ長く寝ても「良質な睡眠」がとれなければしっかりと脳を休めてあげることができません。
人間は約90分周期で「浅い眠りのレム睡眠」と「深い眠りのノンレム睡眠」を交互に繰り返しています。レム睡眠の時は身体の疲れを取るには欠かせず、ノンレム睡眠は脳を休める役割があります。この2種類の眠りが交互に繰り返させることで、精神と肉体のリラックスとリフレッシュさせることができます。
良質な睡眠をとる方法として、日常生活を規則正しくすることが大切です。「寝起きには日の光を浴びる」「朝食は抜かず、しっかりと食べる」「適度な運動をする」「自分に合う寝具を使う」などがあります。また、入眠前のアルコールやカフェイン、スマホを見るなどは入眠の妨げになりますので注意しましょう。
心を整え心と身体からストレスをなくそう
朝起きて気分が乗らないなどストレスを感じていると、何をするにも億劫になってしまいます。
自律訓練法は手軽に行うことができ、普段から繰り返し自律訓練法を行うことで心身共にリラックスすることができストレスも軽減することができます。またリラックス効果やストレス軽減だけでなく、仕事や勉強などの効率アップにも効果がありますので、正しい知識と方法で行い、日々の生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。